1ヵ月で3割近くも…貝類生産量ナンバーワン「ホタテ」が、ここにきて安くなっているワケ

 photo by gettyimages

9月21日現代ビジネスによると、かつてこれほどまでに、この二枚貝が注目されたことがあっただろうか。イタヤガイ科に属し、北海道を中心に東北沿岸などでも獲れるホタテガイのことだ。

 今年8月下旬、東京電力福島第一原発の処理水が放出されたことを機に、中国は日本産水産物の全面禁輸に踏み切った。

 同国は日本最大の水産物輸出国であり、香港を含めた輸入依存度は4割を超える。その筆頭に挙げられるのがホタテであり、にわかに行き場を失った分、大量に国内在庫が増えて価格が急落している。

実は生産量が日本で2番目に多い

 あまり知られていないが、日本のホタテの生産量は、養殖を中心に合計約51万トン(令和4年漁業・養殖業生産統計、農林水産省)と、総生産量の13%を占める。貝殻も含めた重量ではあるが、魚介類の種類別ではマイワシ(約61万トン)に次いで2番目。貝類ではカキ(約17万トン)を大きく上回って生産量ナンバー1となっている。

 日本で潤沢に生産されているホタテ。刺し身はもちろん、焼きものやフライなどで味わったりと、調理も万能な食材だ。バーベキューでは殻のまま焼いて、殻が開いたとこを見計らってしょう油をかけ、バターを乗せたら、香ばしい香りが漂い、食欲をさらに掻き立てること間違いなし。ホタテが大好物という人も多いのではないか。

 それだけ汎用性が高いこともあってか、他の高級魚介と比べるとややプレミアム感に欠ける部分もあるのかもしれない。例えば、ホタテの主産地、北海道産の海鮮といえば、カニやイクラ、ウニなどが挙げられる。

 どれも「丼ぶり」として、丼の上に「ド~ン」とメインの食材として盛られ、他の海鮮も散りばめられながら、値の張る贅沢な食材として確固たる地位を気付いているのだが、「ホタテ丼」といった単体での丼はそれほど見かけない。

イメージと若干離れた高級品に

 どちらかと言えば、舟盛りや海鮮丼の上で、マグロや白身魚の横で脇役の様に添えられているのがホタテだ。

 おいしさとは別に、白っぽい色合いが丼の彩として物足りなさがあるようで、むしろマグロや外国産のサーモンの方が、メニューに掲げられやすく、インスタグラムなどSNSでの「映え」も期待できるということか。他の貝類では、カキがフライや鍋でメインを張れるが、ホタテとなると幾分地味な印象だ。

 生産量は日本を代表するレベルでありながら、水産物全体として見れば、少々脇役のイメージが伴うだけに、リーズナブルな値段で流通してもよさそうなものだが、輸出を背景とした海外の需要増から、流通価格はここ十年ほどで驚くほど高騰。日本の市場とミスマッチした高級品になっていた。

 ホタテの主力産地、北海道函館市の水産物卸売市場の冷凍ホタテ相場(むき身)をみると、10年前の2013年秋、1キロ当たりの卸値は900~2500円(税抜き)だったのが、今年9月は3700~5400円と大幅に値を上げている。

記事全文はこちら

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です