科学的説明、「中国が応じてくれず」 原発処理水放出で西村経産相

原発処理水放出問題では中国とEUの対応が真逆ですね。

朝日デジタル新聞によると、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、西村康稔経済産業相は18日の閣議後会見で、放出に反対する中国に対し、日中の専門家同士が「科学的観点」で意思疎通できる場を設けるよう打診していることを明らかにした。中国側は拒んでいるという。

 

海洋放出については、国際原子力機関(IAEA)が「国際的な安全基準に合致」すると評価した報告書を公表。日本政府は、これをもとに国内外への説明を加速させ、放出に向けた詰めの準備を進めている。

放出に対し、中国は強く反発。香港政府は、放出した場合、10都県の水産物を禁輸する方針を発表している。  西村氏は会見で、香港政府の対応について「極めて遺憾だ」と指摘。中国政府に意思疎通の場を設けるよう「累次にわたって申し入れている」が、「(中国側は)まだ応じてくれていない」と説明した。

一方、欧州連合(EU)は日本産の農林水産物や食品の輸入規制を完全撤廃することを発表した。この決定に、西村氏は「風評を抑制し、被災地の復興を大きく後押しするものだ。歓迎したい」と述べた。(相原亮)

 

●原発処理水放出した場合
放出の方向に進んでいるようですが、放出した場合、香港は10都県水産物の禁輸方針を発表しています。もし、10都県の水産物が禁輸になれば、どれ位の経済的被害があるのでしょうか?少し調べてみましょう。

10都県とは福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、埼玉県、宮城県、新潟県、長野県、東京都のことです。

 

 

●2022年農林水産物・食品輸出額上位20カ国+EU
香港向け輸出額は2086億円で輸出額が多い順に真珠(天然・養殖)、アルコール飲料、ホタテ貝(調製)。香港向け水産物輸出額は755億円。

 

 

●2022年香港向け水産物の内訳
755億円の内訳は、水産物(調製品以外)が412億円、水産調製品が342億円。

その内、第1位の真珠(天然・養殖)が173億円、第3位のホタテ貝(調製)が94億円、第4位のナマコ(調製)が85億円、第9位のホタテ貝が48億円で合計すると310億円。この4つの水産物310億円は全体755億円に対して約41%。

 

 

●真珠の生産地
まずはアコヤ貝から獲れる真珠(養殖)の生産地トップ3は第1位:愛媛県、第2位は長崎県、第3位は三重県。その他、佐賀県、熊本県、大分県などで取れるようです。

その為、養殖だけで見ると、10都県禁輸ではそれほど影響がなさそうです。

 

●ホタテ貝の生産地
続いてホタテ貝の国内生産量は48万3901kg、国内生産地は、漁業・養殖合わせての第1位:北海道37万9502kg、第2位:青森県9万9265kg、第3位:宮城県3343kg、第4位:岩手県1791kg。

10都県に該当するのは宮城県で、宮城県のホタテ貝の生産量は国内全体の0.69%程度。

その為,ホタテ貝も10都県禁輸ではそれほど影響はなさそうです。

●ナマコの生産地
続いてナマコの国内生産量は2021年5564t、トップ3は北海道、青森県、山口県、10都県の生産量の合計は274tで全体の4.92%。

その為、ナマコも10都県禁輸ではそれほど影響はなさそうです。

 

以上から、香港向け輸出額755億円の41%を占める真珠、ホタテ、ナマコはそれほど影響を受けないと思われる。

残り約60%がどのような商材になるか?はわかりませんが、影響を受けたとしても限定的ではないでしょうか?

 

それでは、また次回、K-blogでお会いしましょう。

 

 

 

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