多角的分析:食品値上げラッシュの波紋
2023年の食品業界値上げラッシュと2024年の見通し
食品業界は2023年、過去30年に類を見ない値上げラッシュに見舞われました。帝国データバンクの分析によると、原材料コスト、エネルギーコスト、包装資材、物流費の増加が主因で、3万2396品目もの飲食料品が値上げされました。
2023年の値上げダイジェスト
主要195社の調査によれば、2023年2月には5639品目が値上げのピークを迎えました。原材料コストの高騰と円安進行が背景にあり、1カ月に2000~3000品目前後の値上げが続いたものの、10月をピークに勢いを失い、11月ではわずか139品目にまで減少しました。
「値上げ疲れ」の影響
この急激な値上げにより、消費者の購買力が追いつかず「値上げ疲れ」が生じました。帝国データバンクの試算によれば、世帯ごとに月3685円分の食費が節約により抑制され、低価格商品やプライベートブランド(PB)へのシフトが進みました。食品スーパーでは売り上げ減少や特定商品の販売数量減少が観測され、企業は慎重に追加の値上げを検討せざるを得ませんでした。
2024年への期待と不安
2024年の値上げは、2023年に比べて小康状態が予測されます。1月から5月までの確認された値上げ品目は3891品目で、前年比で6割減少する見通しです。しかし、特に輸入品は最大50%以上の値上げ率が予想され、これが全体の値上げ率を押し上げています。
2024年の見通しと変動要因
2024年に注視される要因は、「人件費」の増加、円安の再加速、エネルギーコストの変動です。特に「人件費」は既にサービス価格に影響を及ぼしており、今後は食品分野でも値上げが進む可能性があります。また、エネルギーコストの上昇が再び値上げラッシュを引き起こす懸念も残されています。
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