2023年1-12月の農林水産物・食品の輸出額が、過去最高を更新しました。輸出実績は1兆4,547億円で、前年同期比で+2.9%の増加となりました。ここでは、その詳細な分析を行います。
2023年は、前年と異なりアフターコロナ下で、世界的に外出して飲食する機会が増えました。また円安も追い風となり、上半期の輸出実績は対前年同期比+9.6%と比較的順調でした。しかし、下半期においてはALPS処理水放出に伴い、中国などが輸入規制を行いました。そのため、中国向け輸出が大幅に減少しました。それでも、年間を通して見ると昨年の水準を若干上回りました。
真珠や緑茶、ビールなどは大きく増加しましたが、水産物や日本酒は中国向けの需要減少により減少しました。
下半期には中国向けが大幅に落ち込みましたが、米国向けは高インフレの落ち着きなどによりV字回復しました。
真珠: 香港向けに増加。昨春に香港での国際見本市が開催されて以降、日本産真珠の需要が喚起されました。
緑茶: 欧米向けに増加。健康志向の高まりなどが背景にあります。
ビール: 韓国向けに増加。円安やヒット商品効果により需要が回復しました。
ホタテ貝: 中国向けに大幅減少。中国の禁輸措置や在庫調整により影響を受けました。
さば: 東南アジアやアフリカ向けに減少。漁獲量の減少が影響しています。
日本酒: 中国や米国での景気後退やインフレにより減少しました。
香港: 真珠やたばこの増加により輸出額が増加しました。
アメリカ: 緑茶やぶりの増加がありました。
韓国: ビールやウイスキーの需要が増加しました。
中国: ホタテ貝やウイスキー、日本酒の減少が見られます。
マレーシア: 粉乳や植物性油脂の減少が影響しました。
農林水産省:2023年12月 農林水産物・食品の輸出額の詳細はこちら
2023年の輸出実績は様々な要因によって影響を受けましたが、食品や農林水産物の国際市場における地位は依然として強いことが示されました。